自宅サロンで成功をしようと思うなら、新規のお客さんを獲得することも大切だが、一度来てくれたお客さんがリピートしてくれることが大きなポイントになる。
リピートのポイントは、技術はもちろんだが、会話が決め手になることが多い。
職人型のセラピストは、コミュニケーションを苦手とする人が多いのだけど、話のうまい下手よりも、「聞く」技術の方が大切だったりする。
特に自宅サロンの狭いスペースでは、お客さんの居心地を悪くするようなことはしたくない。
苦手な会話塾を磨こうとするよりも、聞く技術を磨くほうが接客力は上がる。
この記事では、お客さんの話をうまく聞くことができる接客のための11のポイントについてお話しする。
point1:ヒアリングとは聞くことであると再認識する
ヒアリングとは「聞く」ことであると最初にお話をしたいのは、「聞く」というのは、想像以上に難しいからだ。
たいていの人は、聞くよりも話すことが好きだ。
聞くには、listenとaskがあり、前者は耳を傾けて「聴く」こと、後者は「質問」と捉えればいいだろう。
ほとんどの人は、listenを求めていることを忘れてはいけない。Askを重ねて自分の話に誘導しようとすると相手は敏感に感じ取る。まずは、「聴く」姿勢を持ち、誘導するためのaskは信頼を得てからだと心得ておきたい。
聞く技術とは、話してもらう技術でもある。
point2:笑顔で相手のキャラクターを読む
話しやすい人と言うのは、「話を聞いてくれそうな人」ということでもある。彼ら、彼女らに共通するのは、いつも笑顔であるということだ。
笑顔というのは、習慣が大切なので、何もない時でも笑顔でいることを心掛けておきたい。
不思議なもので、世の中難しい顔をしている人が多い。
顔の筋肉を少しだけゆるめて、広角を上げる習慣を身に付けておくことで、自然な笑顔になる。
また、初対面の人とのコミュニケーションでも笑顔が重要だ。第一印象で、「話しやすそうな人」と思われるのは大きな武器となる。
だから、まずはこちらから話さない。挨拶をした後は、笑顔で待つ。その間に相手のキャラクターを読む余裕が欲しい。積極的に話す人なのか、心を開くまでに時間のかかる人なのかによって、会話の流れは違ってくる。
point3:相手の気持ちを汲み取る
お客さんの話を聞いていると、悩みを話されることが多い。これはとてもよい傾向だ。
仲には、悩みが幼稚だと思うことがあるかもしれない。
その時に注意したいのが、悩み自体の善悪を付けないということだ。その人は、そのことで悩んでいるのでそれは仕方がない。
「この人は、このような悩みを抱えているのだな」と相手の気持ちを汲み取る。
共感する必要はない。セラピストがよく教えられるジャッジしないというのは、現状の認識である。
point4:相手の目を見て聞く
目は口ほどにものをいうと言われるように、お客さんの話を聞いている時の態度は大切だ。
最悪なのは、別のことを考えて、お客さんの話を聞き洩らすことだ。話をしているのに聞いてくれていないというのは、最も信頼をなくしてしまう。
セラピーの最中は集中したいし、忙しいことは承知している。それはお客さんも理解している。
だから、自分の話を聞いてくれていることに感謝している。その感謝をあだにしないことが大切だ。
お客さんの話を聞く時は、できるだけ相手の目を見て聞くことを心掛けたい。
point5:相槌のパターンは多いほどよい
聞くということは、自分が話さないということになる。しかし、黙っていればいいわけでなく、大切なのは相槌。
相槌が上手いと相手の話も乗ってくる。
相槌のパターンは多いほうがいい。
「はい」「なるほど」「へ~」「すごいですね」「それはいいですね」「そんな考えもあるんですね」「それはすごいですね」など、組み合わせで使うことが大切。
ワンパターンの相槌は、話を聞いていない印象を与えるので注意が必要だ。
point6:相手を否定しない
話を聞いてほしい人の多くは、話を聞いてほしいだけでアドバイスを求めているわけではない。
実際、深い悩みでも話を聞いているだけで、相手が「すっきりした」と言ってくれた経験があると思う。
男性に多い傾向なのだけど、ついついアドバイスをしたくなる。アドバイスというのは、多くの場合、相手を否定することになる。善意で、「こうしたほうがいい」と思っていても、相手のレベルが上司のレベルに達していない場合は、理解ができていないことが多い。
ただし、誤解しないでいただきたいのは、相手を否定しないというのは、「肯定しろ」ということではない。「そういう風に考えているのか」と相手の考えを受け入れるということだ。
point7:ねぎらいの言葉をかける
人はアドバイスを求めてはいないが、ねぎらいの言葉を求めている。
誰でも承認欲求も持っているので、認められたと感じることがあれば、相手に好意を持つ。
ねぎらいとは、「相手の労苦をいたわること」なので、悩んでいること自体を承認することが大切だ。
ねぎらい言葉の分類としては2つの方向で考えることができる。
感謝
「話してくれてありがとうございます。」
重要性
「あなたの存在は大きいと思いますよ」
というものだ。
その上で、がんばっているから悩むのだということばを掛けることで信頼を得ることができる。
point8:相手の懐に飛び込む
話を聞きながら、お客さんとの距離を縮めるポイントは、相手の懐に飛び込むということになる。
お客さんの悩みを聞く場合は、「聴くことが大切」と言いながらも、それで終わりではもったいない。
また話をしたいと思ってもらいたい。
若干の操作が入るが、小手先のテクニックよりも、相手の本質に飛び込む方が効果的だ。
「最初は、正直、もっと話しにくい人かと思っていました。意外でした。」と言うのは、お客さんとの距離を縮める。
point9:3つの質問パターンに関する答え方
聴く場合はアドバイスをしてはいけないと言ったのだけど、お客さんからの質問でアドバイスをしなければならない場面がある。
この場合は、「あなたはどうしたいのですか?」というカウンセリング的なaskよりも、答えを出すほうがいい。ただし、お客さんからの問いかけには3つのパターンがあることを知っておきたい。
A:クローズな問いかけ
例えば、「ご主人が好きですか?」と言うように、基本的にYesかN0で答えるべきもの。
この問いかけには、正直に答えなければならない。ごまかしは裏目に出る。
B:オープンな問いかけ
例えば、「あなたにとって結婚とは何ですか?」というように、どんな答えでもできてしまう問いかけ。ここも、同様に自分の考えを率直に話すことが大切。
問題は、
C:クローズとオープンの中間の問いかけ
例えば「私は、どうすればいいでしょうか?」というもの。
この問いかけへの返答が最も難しい。「自分が思うようにすればいい」という回答もあるのだけど、多くの場合は不全感を残す。
この答えを出すときに、知っていただきたい寓話がある。
ある村を旅人が通過しようとしていた。夕暮れが近づいていたので、その村で宿泊するか、次の村に向かうかを迷った若者は、出会った老人に質問をした。
「次の村までどのくらいの時間がかかりますか?」
すると老人は黙ったまま。
愛想のない人だなと思って歩き始めた旅人に老人が言った。
「その足だと3時間はかかるな」
この寓話は、アドバイスとは、相手のことを理解したうえで行うものだという示唆だと思う。
お客さんの現状、あなたの経験と知識、すべてを動員して「情報」を与える。自分の考えを押し付けるのではなく、決断はお客さんが下すものだとして、自分の知りうる限りの情報を与えることで、お客さんは自分の頭で考え始める。
この答えの適切さで、お客さんのあなたへの信頼度は大きくなる。
もちろん、分からない場合は、正直にわからないと言えばいい。あなたと話をしたいと思うなら、お客さんは次もやってきてくれる。
point10:秘密を共有する
お客さんから、「他の人には言えないのですが」という話を切り出されたら、相当に信頼されていると思ってもいい。
秘密の共有は、つながりを強固にする。
だからこそ、お客さんの話を他言してはいけない。お客さんの告白がペビーなことでも好奇心を表に出さずに淡々と聞くことができて、ねぎらいの言葉を掛けることができれば、部下とのコミュニケーションはより強固になる。
point11:相手に勇気を与える言葉をストックしておく
話を聞くと言っても、セラピーの時間は決まっている。終わってから延々と居座られたら、商売に差し支える。
セラピーの終わりと悩み相談の終わりは同時だ。
お客さんの話を聞いて、最後に送り出す言葉は勇気を与える言葉にしたい。ここまで話を聞いてきたので、最後の言葉が部下に与える影響は大きい。
そのためには、日ごろから名言をストックしておきたい。
最後の言葉のストックとして勧めているのが、
まとめ
お客さんの話を聞くセラピストになるポイントをお話ししたが、できるだけテクニックに関しては書くことを避けた。
というのは、どんな心理操作術も、相手への理解と相手をねぎらう言葉に勝つことができないからだ。
人間性の高い人とは、相手の話をきちんと聞くことができる人だと思う。
リピートするお客さんは、あなたのサービスを買いに来てくれていると同時に、あなたに会いに来てくれていることを忘れないでいただきたい。
あなたが提供するサービスを受けることで、お客さんはどんな未来を望んでいるのか?悩みとは、その通過点であることを理解して、聞く技術を磨いていただきたい。
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